旧制高校はエリート養成の教育機関
旧制高校は、当時の帝国大学への進学を前提としたエリート教育を行う場でした。進学者が元々少ないこともあり、旧制高校へ進むということだけでも半ば特権階級に属するようなものでした。おそらくはイギリスのパブリックスクールなどをモデルに、エリート養成機関として創設されていると思われます。しかし次第に日本独自の習慣などが入り込み、本家の寄宿舎学校とは違う、現代日本の新制高校や大学ともまた違う、独立した教育機関となったのです。
旧制高校の大きな特徴は、自治寮生活にあります。どの高校であっても入学すれば、高い確率で寮生活を送ることになります。寮の運営は、完全に生徒に委ねられていました。旧制高校の寮は、基本的に生徒の自治運営なのです。ストームというエネルギー発散方法が行なわれたこともまた、寮の特徴です。
弊衣破帽の制服姿も、旧制高校の特徴です。一部にはブレザーを導入した学校もありましたが、多くはボロボロの学生服と制帽にマントを羽織り、高下駄姿で街を闊歩していました。生徒たちはきれいな姿よりも汚れてくたびれた姿を好み、わざと制服を汚していました。学校を去る時に弊衣破帽も卒業し、帝大生になると皆、さっぱりした姿になります。それ故に、弊衣破帽は旧制高校のシンボルでもあったのです。ダベる、コンパなど今でも残る学生用語も、旧制高校から生まれました。学制が変わり、旧制高校もなくなりました。しかし新制大学の中に、自治寮や寮歌は引き継がれています。